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宇宙のゴミ問題

2009年2月10日、シベリアの上空約800 kmで2つの人工衛星が衝突しました。

片方はイリジウム33という商用通信衛星、もう一方は、既に運用を停止していたロシアの軍用通信衛星
コスモス2251です。衝突によって2つの衛星は600個以上の破片となりました。

2007年には中国がミサイルによる人工衛星の破壊実験を実施したため約2500個の破片ができ、
2008年にはアメリカが制御不能になった衛星を破壊したため、数千個の破片ができました。

このような宇宙を漂う人工物体をスペース・デブリ(space debris)または宇宙ゴミと呼んでいます。

直径10cm以上のものは、北アメリカ航空宇宙防衛司令部 (NORAD) の宇宙監視ネットワーク (Space Surveillance Network;) 、ロシアの宇宙監視システム (Space Surveilance System)などで常時監視が行われています。

日本でも美星スペースガードセンター、上斎原スペースガードセンターの2施設でデブリの監視をしています。

デブリは直径10cm以上のもので1万3000個以上、直径1~5cmほどのもので15万個以上も存在するとされ、
これらの一部は数十年間、中には100年以上も宇宙空間に存在し続けるものもあると考えられています。

直径1cm程度の破片であっても秒速数kmの速さで衝突すれば、衛星を破壊してしまうほどの威力を持つため
とても危険です。

今後、打ち上げられる人工衛星の数が増えることは確実で、宇宙ゴミを出さない衛星の設計、処理方法などの
対策が急がれます。

by hagihaku | 2009-02-27 19:23 | 天体観測室より
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