萩博物館の生物研究室内の小型水槽。
一辺30cmのその水槽の上面に、一回り小さいガラス蓋を、私は確かにストッパーでひっかけてかぶせていました。 ・・・が、その翌朝、水槽の上面にガラス蓋が見当たらなくなってしまったという、あの事件。詳細はこちら→ http://hagihaku.exblog.jp/10977648/ その真相をお知らせしたいと思います。 みなさん、たいへんお騒がせしました。 犯人は、この水槽内の住人、テングニシでした! テングニシ(長さ17cm)は、この写真のように、いつもは小型水槽の内側の壁の、上縁ギリギリのところによじのぼり、そこでじっとしています。 が、夜行性な彼(彼女?)は、私たちが退館した後の夜になると、餌をもとめてウロウロ動き回るようです。 ある夜、彼はこの写真の状態のまま上に這い進もうとしたようです。 ・・・が、その上方には問題のガラス蓋がひっかけてありました。 しかし、テングニシにとって、ちょっとひっかけてある程度のガラス蓋など、彼の強靭な石灰質の貝殻でぐいっと突き上げれば持ち上がってしまったようです。 持ち上げられたガラス蓋は水槽の両脇のストッパーから外れ、支えを失っててしまいました。 ガラス蓋は水槽よりも一回り小さいので、支えを失って斜めになれば水槽の中に入るサイズです。 そのまま、水槽の中に落ちこんだらしいのです。たぶん、バシャーンと大きな音を立てて。 その名残りが、翌日に残っていた水槽のまわりの水しぶきの跡。 翌日研究室に来た私が、いくら水槽のまわりをさがしてもガラス蓋が見つからなかったのも当然。水槽の中に落ちてたのですから。しかも、透明なので、水槽の中の風景も一見いつもと同じように見え、30分ぐらい私は気づきませんでした。 ・・・が、よく見ると、水槽の中にいた他のいきものたちの困り果てた姿が。ツメタガイも、ホンヤドカリも、ガラス蓋の下敷きに。底の狭いすきまでひっそりとたたずんでいました。 ガンガゼ(ウニのなかま)の、かの有名な有毒で鋭利な棘も、ボキボキ折れてそこらに転がっていました。 そんな他人の苦労も知らず、今日も水槽の壁の上縁で寡黙に陣取るテングニシ君。 長らく貝の研究にたずさわってきた私ですが、「貝ってこんなふうに淡々と、体を張ったギャグをやるんだ~」と、ちょっと貝のことを違う面で見直した一日でした。 (堀)
by hagihaku
| 2009-05-20 08:39
| いきもの研究室より
|
ファン申請 |
||