萩博物館で開催中の特別展「最恐!危険生物アドベンチャー」(~9/9まで休みなしで開催)の会場内の一角には、萩近海にすむ魚やウニなどの危険生物の飼育展示コーナーがあります。
これは、山口県漁協および須佐支店から特別採捕許可を得て、スサリゾートダイビングサービスのご協力により実現したものです。 今日はその飼育魚のひとつ、ハオコゼ(葉鰧)にまつわるトピックスを紹介したいと思います。 ハオコゼは体長2~5cmほどのかわいらしい小魚で、マスコットのように海底にちょこんと「座って」あたりをうかがっています。 たまにヨタヨタと移動したり、チョロチョロと急いで泳いだりと、見ていて飽きない魚。 ですが、背びれと頭にあるトゲに毒があり、刺されたときの痛さといったら、ガマンのレベルを超えています。 実際、私も大学院時代に後輩がダイビングでの潜水調査中に刺され、猛烈な痛みに音をあげ、病院で治療を受けたのを覚えています。この痛みは、刺されてから数分で引く場合もあれば、5日も続く場合があるとのことです。 そんなハオコゼが、スタッフの前でだけ披露してくれる意外な一面を紹介しましょう。 飼育水槽のハオコゼをはじめ、同居しているカサゴやニジギンポやメバルの一種などは、すべて非常勤職員のMさんとOさんが毎朝のように餌を与え、世話をしています。 この写真は、ある朝、飼育水槽を上から撮影したところ。 Mさん・Oさんが、粒エサ(人工的に練りあわせてつくった粒状の餌)をパラッとまきました。 すると・・・見てください。 本来、海底でマッタリしていることの多いハオコゼたちが、けなげにも水面にお出迎え。 ピチャピチャと音を立てながら餌をついばみはじめました。 写真の中央上のハオコゼが、泡を立てて餌を求めています。 写真の左下のハオコゼは、今まさに口に餌をゲット! 「もっとくれ!もっとくれ!」といわんばかりのはしゃぎようです。 さっきの写真の左下のハオコゼは、胸びれをめいっぱい広げて旋回し、次の粒エサを求めて突進していきます。 私や副担当の椋木専門員が知らぬ間に、Mさん・Oさんはこんなかわいらしい光景を毎朝のように見て微笑んでいたのですね~。 ハオコゼだけでなく、同居しているニジギンポ、メバルの一種、カサゴの幼魚も、負けじと水面を旋回して餌の争奪戦を繰り広げています。 写真の中央右のニジギンポが今まさに赤い餌を口にくわえています。 こんな「宴」が数分続いた後、やがて粒エサがほぼなくなり、満足そうに朝食タイムを終えるハオコゼとその一味たち。 この後、彼らは次第に水槽の底へ戻っていき、朝9時の開館とともに来場するみなさんにしっかり見ていただくという「日常業務」にとりかかっていきました。 どうでしょう?みなさん、これがみなさんが常日頃から「邪悪だ!」と敬遠してきた危険生物の意外な素顔です。 これまで本展や当ブログに登場したいろいろな危険生物たちと同様、人間が触ったりいじめたり、挑発したりしない限り、決して自分から襲いかかってくることはありません。 それどころか、危害を加えない人には、こんな楽しくかわいらしい仕草を見せてくれるのです。 危険生物たちの姿や形、性質や生態をきちんと理解して渡り合えば、人と危険生物は共存できる・・・なんてことが決して無理とはいえないような、そんな気がしてきませんか? (堀)
by hagihaku
| 2012-09-06 14:39
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