ひそかなオススメ②~「べっぴん!美形いきもの帳」(~2015.9.6)
明日9/6で閉幕予定の萩博物館「べっぴん!美形いきもの帳」展から、展示担当者の堀よりひそかなオススメの展示物をこっそり紹介。その第2段、海洋生物編です。

b0076096_17545511.jpgこのたびの展示のタイトルにもなったアマダイの一種「べっぴんさん」。
アマダイ漁の基地・萩ならではの展示物です。
1980年代まで萩の漁船は東シナ海まででかけてアマダイをとっていました。
そのころ、現在一番よく食べるアカアマダイでもない、珍しいシロアマダイでもない、第3の種類が中国の長江の河口沖あたりに生息しており、萩の漁業者の方々はそれをよく漁獲していたそうです。

その体は白く、目のあたりに化粧をほどこした妖艶な女性のよう。そこで、この魚は「べっぴんさん」と呼ばれるようになったといいます。

その後、まぼろしの存在となってしまいましたが、2000年に入ってから対馬海峡東水道でとれた貴重な1尾の資料をもとに、現・山口県萩水産事務所の天野さんのご協力により、復元剥製として展示しています。

見れば見るほど「べっぴん!」な魚です。ぜひご覧ください。


b0076096_17555594.jpg展示室のある場所の黒いのれんをくぐると・・・
突然 目の前の上空にヨシキリザメが現れます!
ミュージアムパーク茨城県自然博物館のご協力による剥製展示です。

陸上生物編で紹介したクロヒョウと同様、獲物を狙って接近する姿の「美しさ」。
とりわけサメは高速で泳ぐため、もとから美しい流線形の体をもっています。

サメを「美しいもの」として見ることなどめったにないでしょう?
明日まで、展示会場でその美しさをたっぷり堪能していただけます。


b0076096_1756491.jpg展示会場には水槽による飼育展示もあります。
大人気のミノカサゴ、白いナマコ、通称「ウズマキ」と呼ばれるタテジマキンチャクダイの幼魚などを飼育展示していますが、閉幕間近の9月に入ってから、ニューフェイスが入りました!

その名も美しい、サクラダイ(桜鯛)です!
旬の時期のマダイも「桜鯛」と呼ばれることがありますが、こちらはもともと標準和名でサクラダイ。
若いころはメスで体がオレンジ色がかっていますが、成長すると一部がオスに性転換し、赤色地に吹雪を散らしたような純和風の美しい魚になります。

展示しているものはメスですが、左の写真の上方を泳いでいるオレンジ色の魚・・・ではありません。
中央の岩の右上に、魚の背びれのトゲらしきものが数本見えているのがわかりますか?
そう、これがこのたびのニューフェイスのサクラダイのメス。
とてもシャイな魚で、ひたすら岩の陰に隠れています。

じゃあ見れなくてダメじゃん!といわれるかもしれませんが、少し慣れてきたようで昨日あたりから表に泳いで出てくるようになりましたのでぜひ目撃してください!

萩市のとなりの阿武町の宇田にて、宇田在住の波田野さんがつり上げて当館に寄贈してくださいました。
ちょうど飼育展示の準備が整ったので、数日限定でこの水槽で飼育展示しています。


b0076096_17573396.jpgお次は珊瑚(さんご)です。
珊瑚といえば、沖縄など南の浅い海にすむサンゴを連想しますが、展示しているのはそれらとは体のつくりが違う、深海にすむモモイロサンゴです。

深海に網をさげて採集され、磨いたり加工したりされ、古来より宝石として重宝されてきました。
アクセサリー型になったものはときどき目にすると思いますが、加工される前の、まだ枝のような骨格の全形が残っている姿を前に、奥ゆかしい、内からにじみ出る「美」をじっくり味わってください。

b0076096_15422326.jpg萩博物館の夏の展示会では、ところどころに「のれん」が下げてあり、行く先に何が登場するかわからない工夫をしています。

その「のれん」をくぐった来場者の皆さまが「うわぁぁぁ~っ・・・」と感嘆の声をあげる展示物。
そのナンバー1ともいえるのが、この色とりどりの美しい貝。

檜(ひのき)の扇のようなのでヒオウギと呼ばれる二枚貝です。
よくもまぁ、丁寧にひとつひとつ色を塗りましたね?・・・と言われることがありますが、とんでもありません、一切 色など塗っていません。この貝本来の色なのです。当然、海にすんでいるときは表面にいろいろな付着物がついていますから、それを取り除いたもの。
同じ種類でもオレンジ色、黄色、紫色、茶色・・・と変異があります。

会場のどこかで、のれんをくぐったら突然 花火のようにこのカラフルな貝たちが姿をあらわしますので、ご期待ください。

b0076096_15423489.jpgしっとりと立ち並ぶ美しく繊細な巻貝。

西洋で「ビーナスの櫛(くし)」と呼ばれる貝です。
日本ではもっと現実的(!?)に「骨貝(ほねがい)」と呼ばれています。

この貝も加工などしていません。この姿で、海底の砂地をはって暮らしています。
自然の造形美をじっくりご堪能ください。

b0076096_15424664.jpgこれまた花火のように美しく散らばる貝たち。

ショウジョウガイ(猩々貝)のなかまです。
中央の大きいものは幅10cm以上もある正真正銘のショウジョウガイ。
まわりの白い小さなものはミサカエショウジョウカズラという種類。

先に紹介したホネガイと同じように長いトゲが何本も生え、いかにも海底にいるとき敵を寄せ付けないのに役だっていそうです。
・・・が、案外そうでもない、このトゲには別の役目があるのでは?とも言われているそうです。その秘密は展示会場のパネルに書いてありますのでぜひ確かめてください。

b0076096_15425854.jpg誰もが認める美しさ。「海の宝石」といわれるタカラガイ(宝貝)のなかまです。

私たちが一生懸命みがいたりニスを塗ったりして光沢を出したのではありません。
これも、もともとの色とツヤなのです。なぜこんなにツヤツヤして美しいのか・・・それは展示会場のパネルでお確かめください。

私は小学4年のころ、どこかでタカラガイがたくさん並べられているのを見て、「うわわわわ~!すごい!これ、ほしい!ほしい!」と心から思ったことがありました。
あのときの気持ちを呼び起こし、今の子どもたちが同じように「わっ!すごい!ほしい!」と思ってくれるようなレイアウトを目指しました。
私の無茶な指示を受けて、タカラガイを何百個も並べさせられたスタッフがたいへんな思いをしたのは言うまでもありません。

b0076096_1543894.jpgこの展示コーナーのタカラガイの中で、私が特に気に入っているものがあります。

それがこちら、展示の手前あたりにある黒光りする少し大きめのタカラガイ。
オーストラリアの一部にしか生息していないロッセルダカラという種類です。

この貝、全体が黒色ですが、丸みを帯びた部分に向かって紅茶のような上品な色がかかり、さらに頂上が白い光彩のような模様があります。黒い部分が多いほど高い金額で取引されると聞いたことがあります。

b0076096_15441066.jpgタカラガイの展示の近くに、さまざまな貝のコレクション展示があります。

「貝を集めることに興味をもつということは、百万長者に生まれることよりも幸せといえるのでは!?」とまで言った人がいるほど、貝は色や形が美しいため、昔から多くの人々を魅了し、コレクションにかきたててきました。

「ある貝コレクターの標本棚」・・・というシチュエーションを想像して、色や形が特に美しい貝を厳選して並べた展示です。貝の美しさをじっくりとお楽しみください。

b0076096_15435352.jpg「ある貝コレクターの標本棚」的展示の中に、もちろんひそかに私が気にっている貝があります。

それは、何年か前にも海に関する特別展を開催したときに当・萩博ブログで紹介したことがあるナンヨウクロミナシ(南洋黒身無)

私は小学生のころ、ある辞典(図鑑ではなく)の「貝」のページに他の貝とともに載っていたこの貝の斬新でショッキングな美しいデザインに感動し、この貝は当時ぼちぼち萩近海で貝を集めていた私にとって「この世で一番ほしい貝」の座にのし上りました。

ナンヨウクロミナシとか、何々クロミナシといった種類がいくつかあるのですが、南太平洋のニューカレドニア島近海にすむ種類がいて、地色が黒のところ、オレンジ色のものがいるのです。
つまり、鮮やかな夏ミカンのようなオレンジ色に白い三角形の斑紋がたくさん並んでいる・・・という具合です。
それは飛びぬけて激レアで、めったに入手できないコレクター垂涎の貴重品!
実はその貴重な標本も、このたびの「ある貝コレクターの標本棚」的展示の中にそっと入れてあります!

写真ではお見せすることができません。ぜひ明日9/6、展示会場に来て、皆様のその目でお確かめください。

b0076096_15442529.jpg最後に一品。
ひときわ鮮烈な貝をご紹介したいと思います。

ご覧下さい!この世のものとは思えないこの貝!

ハマグリのような形の二枚貝ですが、縁に美しいトゲがビッシリ生えています。
すさまじいインパクトです!

この貝、名前もそれ相応のすごい名前がついています。
その名は・・・ マボロシハマグリ

国立科学博物館のご協力により展示しているものです。
このすばらしい貝の美しさにも、この貝が生きていく上での理由、ひみつがあります。それはぜひ展示会場にてお確かめください。


以上、明日9/6の1日で閉幕を迎える萩博物館の27年度夏期特別展「べっぴん!美形いきもの帳」から、展示担当者の堀がひそかに気に入っているオススメの展示物を紹介しました。

本展の閉幕日の明日9/6は通常通り、朝9:00に開館、16:30まで入館受付、17:00に閉館・閉幕となります。
最後の1日をこの世の美形いきものたちとお過ごしください!

(堀)

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by hagihaku | 2015-09-05 17:00 | 企画展示室より
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