そこに住んでいる人にとってはとても当たり前なことが、エコミュージアム(まちじゅう博物館)を推進する上ではとても大切な資源となります。
それに気づくきっかけにしてもらえればということで、サルトの暮らしを支えているオリーブをテーマにした小さな企画展の企画を、サルトの関係者に提案しました。 ヨルダン国サルト市において訪ねたオリーブの搾油工場には、石のローラーを用いて油を絞っている様子を描いた版画が掲げられていました。 実は、比較的最近まで稼働していた「現場」がサルト市には存在し、それにともなう「物語」もたくさん伝わっています。 石のローラーを使う以前の油の搾り方を示す石材が、洞窟住居の前にありました。 まさに「まちじゅう博物館」、サルト市民・関係者の皆さんの掘り起こし成果が楽しみです。 1967年に、サルト市で初めて搾油機械を導入したという工場の主は(強面ですがとても気の良い人です、人は見かけではありません)、搾りたてのオリーブ油をご馳走してくれました。 次から次へと、家の畑や庭先で収獲したオリーブが運び込まれていました。 それぞれの家庭や一族が一年間に消費するオリーブ油は、それぞれに準備するという自給の生活が営まれています。 精油された自家のオリーブ油を缶に詰める人たちです。 かつては油缶ではなく、陶器の壺に入れて保存したそうです。 工場の裏手には、搾りカスが排出されていました。 それらはブロック状に成形して乾燥させ、燃料にしているそうです。 搾りカスのブロックを燃料とするストーブ、兼オーブンです。 循環型の暮らしがサルト市にはあります。 その日に市場で仕入れた食材を、その日の内に消費する生活もそうですが、とても豊かな暮らしが息づいているように思います。 その後年末に、学芸員某は第7次派遣のミッションを終え日本国萩市に戻ってきました。 これからは、担当企画展について少しずつご紹介したいと思います。 学芸員 某
by hagihaku
| 2016-01-02 12:44
| くらしのやかたより
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