「書の達人」でもあった伊藤博文―「長州ファイブ展」より③―
「長州ファイブ展」では、伊藤博文の各期における筆跡を、その当時の顔写真をかたわらで見ながらじっくり鑑賞できるように展示しています。

b0076096_1972087.jpgひときわ目を引くのが、明治18年(1885)7月、明治天皇の行幸に随行して山口を訪れた際に作った五言絶句の漢詩です(個人蔵、当館寄託)。天皇の行在所(仮宮)となった毛利家野田邸のたいへん美しい情景をほうふつとさせる内容となっています。

小園人不到 小園に人到(いた)らず
撫景感何深 景を撫(ぶ)して感何(いず)れか深き
鳥影花香處 鳥影花香の処(ところ)
悠然天地心 悠然(ゆうぜん)たり天地の心

「誰も来ることのない小さな庭園の景色をめでていると、感慨の何と深まってくることか。ここには鳥の姿と花の香りがあるだけだが、ゆったりと天地の心を感ずることができる」と解釈することができます。か細い字を書いているように見えますが、実物は天地240センチもある大幅(表具込み)で、一字ずつ筆の運びに勢いが感じられます。

伊藤は、少年時代に通った久保五郎左衛門の塾で「席書(せきがき)」(書道展)が開かれると、いつも一等賞をとっていたそうです。小さい時から「書の達人」でもあったんですね。


ちなみに伊藤はこの約5ヵ月後の12月、内閣制度が発足して初代総理大臣になっています。なんだかこの詩を読んでいると、飛ぶ鳥を落とす勢いで政界のトップに上り詰めた彼の心情が、たっぶりと込められているような気がしてきませんか?

(道迫)
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by hagihaku | 2006-07-21 19:17 | 企画展示室より
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