ちょっと遅くなりましたが、昨日終了した当館での博物館実習において、歴史・美術資料の取り扱いを担当した私こと道迫からも報告させていただきます。
3人の実習生がはじめて来館した8月17日(木)の午後、ふだん歴史・美術系資料の整理・調査を行っている【特別資料調査室】で実習に取り組んでもらいました。 「歴史・美術資料」とひとくくりにいっても、私の専門が歴史学ですので、実習生に手ほどきできるのは、自ずと紙や布に書かれた資料が中心となります。しかも半日しか時間がないということで、取り扱い実習を行ってもらったのは、掛幅(掛軸)、巻子(巻物)、屏風、扁額、冊子、捲り(まくり=表装していない資料)など、どうしても平面物が中心とならざるをえませんでした。 本来美術資料といえば、工芸品、たとえば刀剣や甲冑、陶磁器、彫刻、仏像などの立体物も含まれますので、そういう意味では物足りなさの否めない実習になったのではないかと自戒しています。 それでも、実習が終わった後に各自からノートを見せてもらうと、3人ともほんとうに体当たりで実習に臨んでくれたようで、こちらの期待以上でした。たとえば、「吉田松陰の書を実際に触るなど、とても緊張したが、貴重な体験ができた」(右側写真参照)「掛軸の取り扱いは大学の講義でも教わったはずだが、忘れていて悔しかった」「捲り、薄様(うすよう)などの耳慣れない言葉が次々に出てきて戸惑った」というような感想が書かれていました。 歴史・美術資料は、この世に1点しか存在しないものが大半です。実物に触れた時の実習生が見せてくれる緊張の面持ちは、毎年のことながら新鮮で、本来教える側の私が、逆にいつも初心の大切さを学ばせていただいているような気がしています。 (道迫)
by hagihaku
| 2006-08-24 18:49
| 歴史資料調査室より
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