先日のブログで紹介したダイオウイカ第2号のお話、後半です。
川尻でははるか昔1963~1965年にもダイオウイカがとれ、その時の貴重な写真に写っていた岡本さん。 その岡本さんが、約40年たった先日2/9、同じ場所でダイオウイカに再会することとなったのです! その日の午後3時ごろ、漁船に乗っていた岡本さんは川尻岬と港の間の海上で、海面を漂っている巨体-生きたダイオウイカを発見! 過去に遭遇した経験からか、すぐに船に引き揚げて港へ。 その情報は、川尻在住の山根正次さんにより、ホットラインで萩博物館に入ってきました。 山根さんは自然科学や博物館に造詣が深い方。この方の機転で、「ダイオウイカ第2号」 は放置されることなく、捕獲されてわずか2時間後に魚市場の冷蔵庫に安置されたのです。こうした「迅速な処理」は、貴重な生物をよい標本にするための秘訣です。 翌朝、私(堀)はダイオウイカを受け取りに川尻へ。 ベニヤ板に載せて冷蔵庫に入れてくださっていた川尻のみなさん。案内人の山根さんをはじめ、現地の方々のご協力で、あっという間に車に運びこまれました。 ← そしてみなさんと、ダイオウイカ第2号(中央)とで、記念撮影。 そうして車は約1時間かけて萩博物館へ。 ・・・そこでまた困ったことが。この日は土曜で、学芸・事務局スタッフは数人のみ。全員に席を離れてもらって共同作業でこの巨体をひっくり返したりして観察~撮影~計測をするのはとても困難です。 そこで私が考えたのは・・・3人でこのダイオウイカを海に浮かべ、その後は水中で自由自在に動かしながら撮影~計測をしようという戦略。 ← とはいえ、最低1人は粘液でギトギトのダイオウイカを全身で触れて作業しなければならないので、この2月の寒い中、海でウエットスーツに着替える私(堀)。 昆虫担当の椋木とtami事務局員に同行してもらって一緒に運び、巨体を海へ。 ダイオウイカ第2号、ずっしりと海に入りました! ← 早速、計測を。水に浮かんでいるので、ずいぶん扱いが楽です。 「ダイオウイカ第2号」、計測の結果・・・ 全長3m! 胴体の長さ1.2m、 胴体の幅40cm。 体重は量りきれませんでしたが、70~80kgはあるものと推定。 第1号と同様、獲物を捕らえるための長い腕・・・「触腕」(しょくわん)は残念ながら2本とも切れてなくなっていました。 しかし、その「触腕」が残っていたら全長はおそらく 5m超・・・と推定。 私とツーショットで撮影。1/23の「リュウグウノツカイ」の時にkozi事務局が実演したように、萩博では、巨大生物の記録は必ず、人間が寝そべってツーショット撮影する規則です。 ← イカの口のまわりを撮影するため、前半身を持ち上げました。 ・・・この写真、究極の対決「ダイオウイカ VS マッコウクジラ」ならぬ、 「ダイオウイカ VS 人間」 に見えなくも!? 腕の間の、口・・・「口球」(こうきゅう)は、径10cmぐらいありそうです。口球の中央に見る黒いモノが、通称「からすとんび」と呼ばれるイカのくちばし・・・「顎板」(がくばん)。 マッコウクジラの胃ぶくろの中にできるという「抹香」(まっこう)という香料は、鯨に食べられたイカの顎板がもとになってできるそうです。 こうしてダイオウイカ第2号は、岡本さんによる衝撃の再会からさまざまな展開を経て、無事に計測・撮影作業を終了。この後、冷凍施設に一時あずかっていただき、・・・今年の夏のある日、みなさまの前にその巨体をあらわす予定です。 その「ある日」とは・・・ 萩博物館ではこの夏、深海の生きものの神秘を紹介する超・企画展示 「君と竜宮城へ~知られざる深海への旅~」 を開催!!〔2007年7月7日(土)~9月2日(日)〕 この展示の目玉展示物のひとつとして、この「ダイオウイカ第2号」、ホルマリン標本となって展示室に君臨します! かの有名な「深海のモンスター」・ダイオウイカのホンモノが、この夏、あなたの前に現われます! その迫力をたっぷり・じっくりとお楽しみください。 最後に、このたびのダイオウイカの捕獲~情報提供~搬出においてお世話になりました岡本和徳さん、山根正次さん、そして川尻のみなさまに、厚くお礼もうしあげます。 (堀)
by hagihaku
| 2007-02-21 12:52
| いきもの研究室より
|
ファン申請 |
||