「風雲!昆虫城」展プロデューサーの堀です。 7/12から当館で開催してきました「風雲!昆虫城~カブトムシたちの戦記」展、一昨日の8/31夕方に無事に閉幕しました。 会期51日間に来場された方々の総数は28,848人!(ただし常設展示の入場者を含みます)。 これまでの萩博企画展の史上最多記録(2007.7.7~9.2「君と竜宮城へ」展:26,408人)をさらに上回る結果となりました。 大勢のみなさまにご来場いただきましたこと、萩博物館スタッフ一同、厚くお礼申し上げます。 ここでちょっと、「風雲!昆虫城」展をふり返ってみましょうか。 覚えていますか?昆虫界行きトンネル。 このトンネルの向こうが、3000種・1万匹もの昆虫たちがひしめく昆虫界になっていましたね。 カブトムシの化身華舞闘侍(かぶとざむらい)に誘われ、昆虫界トンネルをくぐりぬけたあなたは、この世のモノとは思えないスッゴイ昆虫たちに出会ったでしょう。 4000kmもの彼方から飛んできて、1本の木を埋め尽くすほどに群がるオオカバマダラ。 進化の過程で長く発達しすぎたアゴが、もはや戦いの役にたたなくなってしまったチリクワガタ。 「美を競う」ためではなく「敵を惑わす」ために翅(はね)をCDのように輝かせるモルフォチョウ。 世界一長くのびる口を駆使し、「幻の花」の蜜を独占するキサントパンスズメ。 宇宙人のような顔に長さ30cmの巨体! この姿で飛ぶという、戦慄のオオトビナナフシ。 敵に警告するための色彩&模様が人の顔そっくりのジンメンカメムシ。 1匹76万円!・・・驚異の高額で落札された、世界中でブーゲンビル島にしかすんでいない幻の蝶アロティトリバネアゲハ。 ・・・などなど。彼らは自身の魅力や能力を余すことなくあなたにアピールしていたでしょう? けれど、彼らは単にあなたを驚かせたり自慢したかっただけなのでしょうか? いえ、彼らには何としてもあなたに伝えたかったことがあるのです。 それは、ブラジル、南アフリカ、エジプト、インドネシア、パプアニューギニア・・・世界の各地で、いろんな昆虫たちがそれぞれの場所で一生懸命いろんな工夫をして生きているということ。 ・・・裏を返せば、彼らの1匹1匹は、その場所だからこそ輝いていられる、その場所でなければ生きていけない生命なのだということ。 そんな昆虫たちがひしめく昆虫界をくぐりぬけて、あなたはついに伝説の昆虫城を見つけてたどりつきましたね。 ところが、その昆虫城の城主カブトムシいわく、 「今、わが昆虫城がナゾの敵に狙われている」・・・!!! あなたはその目ではっきり見たでしょう? 昆虫城を狙うナゾの敵の姿・・・それは、外国のカブトムシ・クワガタムシたち。 昆虫城の城主や家臣たちは、城を外国の昆虫たちから守るため、いやおうなしに戦いへと突入していったのでした。 しかし、彼らをそんな目に逢わせている「黒幕」は、ほかでもなく人間。 人間が外国の昆虫を気軽に飼い、飼えなくなった・飽きたといって近くの野山に放す・・・ すると、放された昆虫は異国の地でも何とか生き延びようと、先住者と餌や棲み家をめぐって争ったり交雑したり・・・ 人間の何気ない行為が、長年かけてつくられた郷土の生態系(=昆虫城)を崩壊させるきっかけとなっていたのです。 華舞闘侍にビシっと言われてしまいましたね? 昆虫城に敵を送りこみ崩壊させてしまう黒幕・・・それは「君たち人間だ!」と。 世界各地の昆虫たち1匹1匹は、その場所でなければ生きていけない生命。 そんな昆虫を飼うのなら、絶対に野外に放さない! 最後まで責任をもって育てる! ・・・これは、昆虫たちとあなたとの約束です。この約束をあなたが守ってくれれば、昆虫城はきっと大丈夫。 そのことをしっかり分かっていただけたなら、あなたのこの夏の昆虫城への旅は大成功です! あなたを昆虫城への旅に誘った カブトムシの化身華舞闘侍。 もしかすると彼は、昆虫たちから人間への切実な願いが侍の姿に形を変えたものだったのかもしれませんね。 「風雲!昆虫城」展が閉幕した8/31の夕方。 華舞闘侍はもとのカブトムシの姿に戻り、夏の終わりの夕空を、遠くの森へと消えていきました。 たった1年しか生きることのできないカブトムシ。 そんなカブトムシの化身・華舞闘侍とみなさんの、生涯忘れられない夏が いま、終わりました。 2008年夏 「風雲!昆虫城~カブトムシたちの戦記~」 おわり (堀)
by hagihaku
| 2008-09-02 12:04
| 企画展示室より
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