私(堀)は9/23~28まで休暇を兼ね、ある理由があってある場所に行ってきました。
それは、沖縄の西表島。 私がここに来たのは、「黒潮」をたっぷり感じ取るため。 黒潮・・・それは、フィリピン沖の海で生まれ、時速7km(人が早歩きするぐらいのスピード)で日本をめがけてやってくる海流。 温かい海水を、なんと2000万~5000万立方メートルも運んでくる、世界最大・世界最強の海流! 西表島は、そんな黒潮の流路の真っただ中にある亜熱帯の島です。 9/24、いざ西表島の海に潜入! 眼下に広がるのは、色彩豊かなサンゴ礁の楽園。 サンゴ礁の海にすむ無数の魚たち。赤いのはアカネハナゴイという7cmほどの魚。オスとメスが入り乱れて泳ぎ回り、繁殖行動の真っ最中のようです。 黒潮に育まれた西表島の海の生命の息吹を感じますね。 大きな魚も集まってきます。 長さ30cmほどのカスミアジが、高速で泳ぎ回りながら小さな魚の群れを襲っています。 しかしなぜ、私が黒潮を感じ取るためわざわざここを訪れたのだと思いますか? 萩とは無縁とも思える、遠い南の楽園に。・・・理由があります。 この写真を見てください。これも西表島で撮影した海底。サンゴ礁の一角、写真の左下に黒いマダラの丸い物体が見えますね。 ホシダカラ。熱帯の海にすむタカラガイのなかまの巻貝です。 ・・・が、このホシダカラ、実は萩の海でも見つかっているのです(ホントに~?と思う方、いきもの発見ギャラリーの萩産タカラガイ展示を)。 同じく西表島で撮影したヒレナガハギという熱帯魚。 華やかなかわいらしい魚ですが、これも萩の近くの海で見つかったことがあります。 いったい、どういうことなのでしょう? 熱帯の海でしか生きられそうもない生きものたちが(もちろん全てではありませんが)、はるか2,000kmも北の日本海の萩にも姿をあらわすとは。 ・・・そう、この西表島の海と、萩の海はつながっているのです。 そのつなぎ役こそが黒潮、そしてその枝分かれの対馬暖流という海流。海の生きものたちはこれらの海流を通じ、北へ北へと旅をして新たな生活の場を開拓しようと努力しているのです。 意外にも沖縄と萩は海流でつながっている。ということは、黒潮のさじ加減で萩の環境は変わってしまうかもしれないのです。いや、すでに変わりつつあるという説もあります。近年、萩の海で珍生物が発見されてニュースになることがありますが、それは変わりつつある萩の海の1シーンなのかもしれません。 今の萩の魅力を未来に引き継ぐため、この萩のどの部分が何処とどうつながっていて、何をしたらどう影響が出るのか - その仕組みをぜひとも知っていただきたいのです。そこで、萩博物館は来年2009年の夏休み、みなさまに海流そして海の生命をテーマとした企画展をお届けすることとしました。 もちろん、単なる展示ではございません。入口から出口まで、一瞬の息もつく暇がないワクワク・ドキドキのワンダーランドに。今夏と同様、来夏も萩博があなたのお楽しみ処となります。 ← 展示に登場予定(!?)のナポレオンフィッシュ (この写真だけは、美ら海水族館で撮影) その展示の構想に私が出かけたのが西表島なのでした。 気が早いのでは?と思われるかもしれませんが、展示とは構想~企画~製作~開幕まで想像以上に時間と労力がかかるものなのです。 (実際、昨年の「君と竜宮城へ」展は構想から開幕まで3年もかかりました。) さあ、これから構想を固め、プロジェクトチームを組んで、どんどん企画を進めていきますよ! 来年夏、萩博物館の展示室にどんな物語が展開することになるのでしょう? どうぞお楽しみに! (堀)
by hagihaku
| 2008-09-30 17:34
| いきもの研究室より
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