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「幕末明治の人物と風景」展の楽しみ方⑤
さきほどご紹介した楕円形のテーブルには、「ホトガラヒーノ説」の簡易複製以外にも、いろんなものが設置してあります。

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なかでもご注目いただきたいのは、今回の企画展で新たに登場した古写真データベースです。

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要するに、展示した全142点の古写真すべてを、この画面でご覧いただけるわけです。

一覧表示からご自分の好みの古写真を選んだり、拡大・縮小したり、自由に閲覧することが可能です。


じっさい展示してある古写真は、大きいサイズのものであればまだしも、大半が名刺判とよばれる10cm×6cmほどの小さな、小さなものです。

これだと、あまり細部がよく確認できず、多くの方がご不満に思われることでしょう。

そこでぜひ、この古写真データベースで、展示ケースではいまいち見えない!という古写真をお選びいただき、細部まで確認していただけたらと思います。



また、どうしてもデジタルは苦手!、という方もどうぞご心配なく。

白い表紙のアルバムに、古写真の複写版を収録しています。

同じ体裁のアルバムが2冊ありますが、第1分冊、第2分冊としたもので、まったく別の内容となっています。

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ただこちらのアルバムについては、展示した古写真すべてを収録しているわけではございません。

なにせ出品総数142点という分量がございます関係上、割愛せざるをえなかった古写真もあり、ご理解を賜りますようお願い申し上げます。


ともあれ、古写真データベースの運用については、当館で初めて試験的に実施しているものですので、まだまだ改善の余地があると思われます。

もしお気づきの点がございます場合は、アンケート用紙にご意見をお寄せいただけますと幸いです。



謝辞 古写真のデータベース化については、九州産業大学、毎日新聞社のご関係の方々よりご協力を賜りました。ここに記してあつく御礼申し上げます。

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by hagihaku | 2011-09-21 11:36 | 企画展示室より
「幕末明治の人物と風景」展の楽しみ方④
こうして意気込ませて企画展示室に入らせておきながら、なんだこの会場は?!、とお思いになられる方も多いことでしょう。

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しかし、しかしです。

展示企画者としては、当館でなぜ古写真展をやるのか、という点にもぜひご注目いただきたいのです。

そこでこの展示ケースにご着目ください。

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ケースのガラス面に「日本最古級の写真技法解説書」という見出しが貼ってありますので、すぐにおわかりいただけると思います。

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ケースのなかを確認してみると、このように、冊子が開いた状態で展示してあります。

こちらの資料は、それはそれはたいへん貴重なもので、私たち学芸の人間も、取り扱うさいには非常に気をつかいます。

とくに、薄手の半紙を冊子状にしたものであるため、めくるときは恐るおそる、ていねいに扱います。


よって、どうしても実物については、ある一部分しか中身をお見せできないという難点がございます。

そこで今回、ちょっと工夫をして、実物を全部写真に撮り、同じサイズで簡易な複製を作成いたしました。

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この冊子が楕円形をしたテーブルの上に置いてあります。

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これをぜひ皆様にも、じかにめくって、萩の写真術の開祖のひとり、中嶋治平がどんな勉強をしていたかを確認していただきたいのです(萩の写真術の開祖とされるのは中嶋治平のほか、小野為八、山本伝兵衛の三人です)。


前置きが長くなりましたが、この資料は中嶋治平自筆の草稿で、名称は「ホトガラヒーノ説」といいます。

これがなぜ貴重かというと、治平が万延元年(1860)に長崎へ出かけたさい、オランダ語の書物から写真術に関する部分を抄訳(部分的に翻訳すること)したものだからです。


ここでいう写真術とは、ウエットコロジオンプロセス(湿板写真)という技法を指します。

あの坂本龍馬を撮った上野彦馬が、化学の教科書として有名な『舎密局必携』前編3巻(この附録に「撮形術」という湿板写真技法解説書を含む)を刊行したのは文久2年(1862)のことです。

彦馬はさらにこの年、長崎に写真館を開いたことでも有名です。


したがって、中嶋治平は上野彦馬の写真技法解説書刊行よりも2年早くこの草稿を著していたことになり、日本最古級の写真技法解説書とされているわけです。


なお、以上の説明はあくまでも湿板写真でのことであり、それ以前の写真術であるダゲレオタイプ(銀板写真)については、安政元年(1854)の川本幸民口述『遠西奇器術』が最も古いとされています。


まわりくどい説明になりました。

とにかく藩都萩には比較的早い時期に写真術に関する知識・技法が伝わっていた。
 ↓
したがって、萩博物館で古写真をテーマにした展覧会を開く。

という流れを少しでもお伝えできていれば幸いです。

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by hagihaku | 2011-09-21 10:31 | 企画展示室より
「幕末明治の人物と風景」展の楽しみ方③
企画展示室へ近づくと、入り口そばに、40インチの液晶テレビが設置してあります。

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このテレビは、まさに古写真展をこれから見るぞ!という意気ごみで来られた方にはたまらない内容となっています。

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このシーンで写っているのは、40歳の木戸孝允の写真です。

このモニタでは、展示してある古写真すべて、つまり142枚の画像を一気に通覧することができます。

ただ、かりにすべてをご覧になりたいという場合、だいたい10分はかかりますのでご注意を。


とにかく、大きいものでも40cmくらいしか幅のない古写真をモニタで見れば、きっとちがった楽しさがあると思います。


このモニタで、どのような古写真が展示してあるかをある程度把握したうえで、実物とご対面されますことをおすすめいたします!

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by hagihaku | 2011-09-21 10:09 | 企画展示室より
「幕末明治の人物と風景」展の楽しみ方②
先週に続き、今週末にも三連休が控えております。

この期間に当館へお運びいただく方も多いのではないでしょうか。

そこでなるべく早く、皆様に「幕末明治の人物と風景」展の楽しみ方をお伝えしたいと思います。


前回はいきなり展示物の詳細にまで踏みこみましたが、ちょっと大事なものを忘れていました。

これも立派な展示物のひとつですので、ぜひ立ち止まって、よく観察していただきたいのです。

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受付から展示室へ向かう途中の回廊に、幅が2m以上もある大きな写真パネルが設置してあります。

この大きく引き伸ばした写真は、ポスターやチラシなどですでにご覧になった方も多いと思います。


この古写真は、吉田松陰没後10年の明治2年(1869)10月26日、すなわち松陰の命日の1日前に撮られたものです。

撮影者は松下村塾の塾生のひとり、小野為八です。

この日、現在の東京都世田谷区若林に葬られた松陰の墓前に、広沢真臣(参議、肩書は当時)、前原一誠(参議)、山田顕義(兵部大丞)といった明治新政府要人を含む、20名近くの長州藩士らが集りました。

彼らはここで何をしようとしているのでしょうか。


じつは、写真を大きく引き伸ばして、ようやくわかったことがあります。

後列左端の広沢は、前原を挟んでその右隣にいる御堀耕輔から、とっくりでお皿のようなものに酒をついでもらっています(ついでもらっているふりかもしれませんが)。

また前原は、四角い弁当箱のようなものを左手にもち、右手のハシでそれをつついているのです。

さらに、前列右から二人目の山田の膝元には、盃が二口置いてあるではありませんか。


『広沢真臣日記』をひもとくと、この日、彼らは「吉田松陰先生正忌」を前日にして、「招魂参拝」をしたと書いてあります。

つまり、彼らは「松陰先生」の霊を招いてお祭りする招魂祭を行っていたのです。


さあ、皆様もぜひ、以上のような点に着目して、もう一度ポスターなどでじっくりと写真の細かい部分までおたしかめください。


ほかになにか、面白いことがわかったという方がいらっしゃいましたら、ぜひ道迫までご一報を!

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by hagihaku | 2011-09-21 09:51 | 企画展示室より
「幕末明治の人物と風景」展の楽しみ方①
標記展覧会がスタートしたばかりのこの三連休には、多くの皆さまにお運びいただきました。

まずもって御礼申し上げます。


ところで、この展示をご覧いただいた方はすでにお気づきのことと存じますが、展示した古写真の大半は名刺判と称されるようにかなり小さいものであるため、なかなか内容を詳しく見ることができない状態です。

しかも展示ケースのガラス越しであるうえに、暗い照明のもとではなお見づらいと思います。


そこでこのブログでは、何度かにわけて今回の企画展をより楽しむための方法をご紹介したいと思います。


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まず、今回の展示照明は、ご覧のとおりかなり暗くなっております。
通常の歴史展示に比べても、より一段と明るさが減少しております。
鶏卵紙(けいらんし)という脆弱な材質でできた古写真が大半であるため、極力照度を下げねばなりません。
この旨、なにとぞご理解賜りたくお願い申し上げます。

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つぎに、展示ケースにはだいたい、このような感じで資料が陳列してあります。
けっこうごちゃごちゃと写真が並んでいるため、一見するとどれが実物かわかりません。

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そこで、資料番号1の古写真をもとに詳細を見てみましょう。
同じ毛利敬親の肖像写真が並んでいますが、右側が本物(鶏卵紙)、左側がその拡大複写版となります。
したがって、まずは右側の本物で鶏卵紙の質感を確かめたあと、左側の複写版で写っている内容を確認するというのがもっともよい方法ということになります。

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またコーナーによっては、資料の配列が違う場合もありますので、それも確認しておきましょう。
ここでは、手前に拡大複写版、奥に本物という配置をしております。


幕末・明治期の古写真、つまりわが国の写真史上、黎明期にあたるころの写真の魅力を味わっていただけたら幸いです。


それでは、次回の「幕末明治の人物と風景」展の楽しみ方もご期待くださいませ!

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by hagihaku | 2011-09-20 09:30 | 企画展示室より
企画展「幕末明治の人物と風景」のお知らせ
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幕末・明治期の古写真を一堂に集めた標記展覧会が、いよいよ明日から始まります。

展示した古写真は合計142枚、すべて萩博物館の所蔵資料です。

古写真資料の実物を一度に大量に展示公開する展覧会としては、当館では初の試みとなります。



この展示のため、2年くらいかけて当館所蔵の古写真の悉皆調査を進めてまいりました(調査は現在も継続中)。

まだまだ、今回の展覧会では紹介しきれない分量の古写真資料が控えています。

今回の展示は第1弾で、第2、3弾も構想を練っているところです。




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今回の企画展にあわせて作成した図録には、展示資料142点すべての画像が収められています。

ぜひ萩博ミュージアムショップにてお求めいただきますようお願い申し上げます。







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ところ狭しといわんばかりの量の古写真が、皆様のご来場をおまちしております。

明日は、ギャラリートークも予定しております。

どうぞじっくりと、古写真の隅々までご観覧くださいませ。

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by hagihaku | 2011-09-16 18:54 | 企画展示室より
幕末産業ものがたり
b0076096_16385964.jpg去る10日、「幕末産業ものがたり」というモバイル動画サイトが稼働開始しました。

現在萩博物館で開催中の企画展「萩の近代化産業遺産―世界遺産をめざして―」に合わせ、萩青年会議所(JC)がこのサイトを立ち上げてくださいました。

このサイトは、携帯電話で簡単にQRコードが読み取れる現在の技術を有効に活用し、萩の史跡などを説明した動画(映像)にアクセスしていただくというものです。

動画では、芝居を交えながら、楽しく、わかりやすくさまざまなストーリーを紹介しています。

b0076096_16391298.jpg具体的には、萩反射炉や恵美須ヶ鼻造船所跡などの世界遺産候補物件のほか、旧藩校明倫館や旧萩藩御船倉など、幕末当時の時代背景を語るには欠かすことのできない物件が含まれています。

したがって、萩博で企画展を見終わったあと、実際に現場を訪れて、この動画でさらにストーリーを詳しく知る、というのが断然おすすめです。

ぜひこの動画で、萩の「近代化産業遺産」にまつわる数々の秘話をご高覧くださいますようお願いします。

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by hagihaku | 2010-10-12 16:39 | 企画展示室より
「萩の近代化産業遺産」展がはじまりました!
さる18日(土)秋の企画展「萩の近代化産業遺産―世界遺産をめざして―」が開幕いたしました。

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昨年、萩反射炉ほかの物件がユネスコの世界遺産暫定リストに記載されたことを機に企画したこの展覧会では、とくに、19世紀のなかば、萩藩のサムライたちがいかなる問題に悩み、どう乗り越えようとしたかに注目した展示となっています。

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具体的には、海防の強化のため大砲と軍艦の近代化にとりくむ一方、ガラス・写真・パンなどさまざまな西洋の文物をとりいれようとした様子が浮かび上がります。

そして、彼らがじっさいに近代化に挑戦した証しとして、「近代化産業遺産」が現在に残されています。

この展覧会をとおして、彼らが試行錯誤つまりトライアル&エラーしながら、近代という激動の時代に立ち向かっていったさまに思いをはせていただければ幸いです。

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by hagihaku | 2010-09-20 12:32 | 企画展示室より
ギャラリートーク開催
現在開催中の企画展『討幕エネルギーの系譜』。
昨日今日とギャラリートークが開催されます。
定員20名とかなり少なめにしていますが、昨日の入りは主催者発表70名あまり。
展示担当者である一坂太郎特別学芸員が1時間あまり熱く解説をいたしました。
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ギャラリートークはあと1回。6月12日(土)午前10時30分から開催されます。
午後からは国指定史跡『明倫館・有備館』での歴史トーク。
通常非公開の施設内での歴史トークに、これまた80名を越える方々が参加されました。
歴史トークは午後2時から、特別公開は午後4時までです。
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今後の有備館の特別公開は7月31日、8月7日(土)、10月2日(土)の3回が予定されています。
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by hagihaku | 2010-05-02 10:32 | 企画展示室より
お宝展情報─その3
お宝展情報─その3

 先週の土曜日(4月3日)は、企画展「初公開!萩博物館の宝」の最後のギャラリートーク。ご参加いただいた方々に、心から御礼申し上げます。

 呈茶の最終回ということで、今回は今まで2回の呈茶で展示した茶碗をすべて披露しました。
左側手前は9代坂高麗左衛門(道助)作、左側奥は萩出身の実業家藤田伝三郎旧蔵の釘彫伊羅保茶碗、右側手前は蓮月茶碗、右側奥は8代三輪雪山(泥介)作。
蓮月茶碗は、幕末の女流歌人大田垣蓮月の手捻りの茶碗です。茶碗には、蓮月作の「野に山に 浮かれ浮かれて 帰るさを 寝屋にて送る 秋の夜の月」と、和歌が釘彫りされています。
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茶花は、あけび(紫色)としらゆきげし(白色)。
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 昨日(4月8日)は、企画展「初公開!萩博物館の宝」の撤収作業。期間中、多くの方々のご来場を賜りました。ありがとうございました。
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 ちなみに、今回の企画展の展示品人気№1は「小萩人形」、№2は鎌倉時代につくられた「毛利家ゆかりの太刀」でした。
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 4月17日(土)からは、企画展「討幕エネルギーの系譜」が始まります。皆様方のご来場をお待ちしています。
(樋口)
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by hagihaku | 2010-04-09 15:45 | 企画展示室より