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博物館「コマーシャル100年 in 萩」展で萩再発見の7
1月が行こうとしています。
研究会発表準備と発表、資料調査、講座準備、依頼原稿執筆 etc. etc.
追われ追われて気がつけば、前回のブログ更新から半月が経っていました。
つづき、です。
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「西国の有力都市・萩」のコーナーでは、夏みかん栽培や水産業が、「まち」の近代化を支えたことをご紹介しました。
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次は、「山口県日本海地域の中核都市・萩」のコーナーです。
ここでは、江戸時代の城下町を起源とする「まち」である萩が、城下町としての伝統を維持しつつ発展してきたことをご紹介したいと思います。
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1953年(昭和28年)前後の新聞折込チラシです。
今回は、博物館で資料化して保管している350点余の折込チラシの中から、80点余を展示しました。
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地域の様々な商店が、折々に売り出しを行い、活発な商いが繰り広げられていたことが分かる資料です。
敗戦から8年、萩地域を含め、各地で盛んに復興が進められていた時期の生活が見えてきます。
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例えばこの折込チラシは、映画(洋画!)の上映を知らせるものです。
当時の娯楽といえば、真っ先に挙げられるのが映画です。
萩には、洋画を専門に上映する映画館(元は住吉座という劇場)など、4館から6館が営業していました。
誰もが注目する映画封切のお知らせに併せて、地域の商店が広告を行っています。
食堂部カフェーで生ビールですか ・・・ 洋品店という言葉の響きも良いですね。
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こちらも洋画です。
空前! 決定版! スリルと興奮の坩堝(るつぼ)! 雄渾(ゆうこん)スケール! 豪壮(ごうそう)スペクタクル! 現地ロケーション大敢行! 戦前戦後を通じての最大 ・・・ 絶賛さる!! 總天然色! !!!の大連発、しかも文部省推薦 ・・・ こりゃあ観に行かねばと思ってしまいます、しかもしかも上映はたったの3日間。
そのお知らせの隣で、蔵ざらえ広告。
大きなマークの中に「あらっ! とかならずびっくりなさいます」 ・・・ なかなかのセンスです。

とまあ、良く見ると感心したり微笑(苦笑)したりの楽しい折込チラシです。
熱意を感じる広告資料を、これからしばらくご紹介したいと思います。
どうぞお付き合いください。 

 ・・・ つづく ・・・   清水
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by hagihaku | 2013-01-27 16:59 | くらしのやかたより
星の会特別編『冬の「寿星」・カノープスを見よう!』
本日1月25日(金)は定例の天体観望室公開日。
昼前は小雪が舞っていましたが、晴れているので、
移動屋根を動かして太陽の観望ができました。
天候の悪い日が多いこの時期、貴重な観望日です。

夜7時30分からの星の会でも晴れていれば、
天体望遠鏡で冬の大三角ほか、見ることができます。

来月2月15日(金)の星の会では特別編を計画中。

リュウコツ座のカノープス、全天で2番目に明るい恒星を見ることにしています。
カノープスは南天の星で、南中しても高度が高くありません。
萩の町は南から北へ阿武川が流れ、南方が山となり、
萩博物館の天体観望室では高度の低い星は見えない・・・のです。

そこで、天体観望室で冬の天体やカノープスについてお話を聞いた後、
萩三角州の近くで最も標高の高い田床山へ各自で移動し、観望することに。

天候次第で、曇天・雨天、降雪時は通常の星の会となります。

なお、中国では「南極老人星」「寿星」と呼ばれ、
この星を見ることは縁起がよいとされているとか。

一緒に見てみませんか。(I)
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by hagihaku | 2013-01-25 16:02 | 萩博講座(ワークショップ)
テーマ展のご案内
昨日1月17日は夕方から雪となり、山間部では10cm以上積もったところも。
朝早くから除雪作業が続いています。

新年明けてからは、ご来館のかたも少なめです。

と、いうことは、落ち着いてじっくり展示を楽しむには最適!

現在の企画展は「コマーシャル100年 in 萩」
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このブログで展示担当者がくわし~く、解説しています。
是非、ご一読の上、ご観覧を。
まだまだブログに登場していない資料が多数ございます。

歴史展示室の常設展示も12月末に鳥瞰図等、史料を展示替えしています。

エントランスではテーマ展「山県有朋と萩」を会期延長して開催中。
そして、2月1日(金)からは今年度最後のテーマ展である
「没後150年記念 幕末の先覚者長井雅楽(ながい うた)」を開催します。
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一度は藩を代表しながらも、非業の死を遂げた幕末の先覚者長井雅楽・・・
どんな人物だったのでしょうか。
長井雅楽とその生きた時代を写真パネルでご紹介します。(I)
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by hagihaku | 2013-01-18 16:11 | 事務局より
萩博物館「コマーシャル100年 in 萩」展で萩再発見の6
おしらせです。
あさって1月12日(土)の14;00から、
今回の企画展の見どころをご紹介するギャラリートークを予定しています。
よろしければお運びください。

前回のブログでは、海産物を取り扱う問屋さんの引き札と、萩と水産業とのかかわりについて少しご紹介ました。
今回もその続きです。
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大阪うつぼの海産物問屋の引き札です。
大阪築港の真景とあり、明治30年(1897)から整備された築港の様子が描かれているようです。
桟橋や海に面した大型倉庫(蔵ではありません)、一文字に沖へと伸びる防波堤が見えます。
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桟橋に停泊するのは軍艦です。
大型の船舶が出入りできる港であることが分かります。
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沖に伸びる防波堤の向こう側には、航路を示す澪標(みおつくし)が見えます。
これが大阪市の市章に採用されるのは明治27年(1894)です。
防波堤の手前には、汽船に曳かれた船が描かれています。
これは、獲れた魚を活かしたまま市場へ運ぶ生き魚運搬船か、または動力を持たない荷船を、港に曳航する蒸気船を描いたものと考えられます。
西洋帆船の縦帆を採用した和洋折衷の船も描かれています。
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海岸には、大型倉庫、西洋風建築、明治36年(1903)に開業した路面電車、電線に電灯などが描かれています。
整備が進み、活況を呈する大阪築港の様子が伝わってきます。
ちなみに問屋が在った大阪うつぼは、この築港からさらに安治川をさかのぼります。
最盛期には塩干魚・鰹節・昆布・干鰯の問屋が数百軒も軒をつらねていたといわれます。
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大阪雑魚場の生魚問屋の引き札です。
雑魚場市場は大阪の魚関係市場の一つで、海の生き魚を主に取り扱っていたそうです。
引き札の縁取りはカタカナで「サコハ」とあります。
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澪標(みおつくし)の間を、市場に向けて進む汽船と曳航される生き魚運搬船と考えられます。
かつては、魚を活かした船が一艘ごとに、多数の櫓を押しながら(人力で!)魚を市場に運んだようです。
しかしこの引き札からは、蒸気船の利用により、遠くから高速で大量に活魚が市場にもたらされるようになったことが想像できます。
遠く見えるのは、明石から淡路島にかけてでしょうか。

いずれにしても、海産物や鮮魚が大消費地の京阪神に集まり、それらを扱う問屋・商店と萩地域の商家とが何がしかの関わりを持っていたことを、浜崎町商家旧蔵の引き札は物語ってくれます。

今回展示している引き札やポスターは、城下町萩が、夏みかん栽培や水産加工業などによって支えられ、海を介して「煙突を見ない」近代化を進めてきたことを思い起こさせる資料です。
美しく楽しい資料でもあります。
ぜひ、お楽しみ下さい。     ・・・ つづく ・・・  (清水)
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by hagihaku | 2013-01-10 10:17 | くらしのやかたより
萩博物館「コマーシャル100年 in 萩」展で萩再発見の5
200枚を超える浜崎の商家旧蔵引き札には、海産物や魚を扱う問屋のものが多く認められます。
今回展示したものの中にも、大阪、神戸、京都のそれら問屋商店の引き札が多くあります。
京阪神方面と萩浜崎との間で、海産物の取引があったことがうかがえます。

以下は、いずれもめでたいエビス様が描かれた神戸駒ヶ林、大阪うつぼの問屋の引き札です。
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清韓貿易の文字が目にとまります。
清国との貿易で思い浮かぶのは、俵物と呼ばれるフカヒレ、干しアワビ、煮干しナマコです。
長州藩では、江戸時代からフカヒレや干しアワビの生産を奨励していましたが、明治時代には、全国のフカヒレ生産の半分以上を山口県が占めていた時期があります。
その鱶(フカ)を漁獲する鱶延縄漁業の全国最先進地が、現在の萩市鶴江(浜崎の対岸)や玉江でした。
鱶延縄漁具や堅牢で航走性能の優れた漁船が、全国に盛んに紹介されました。
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余白部分どころか、引き札の中から飛び出してくるような、なんとも躍動感のある図柄です。
この引き札で目にとまるのは、皮鯨商の文字です。
明治32年(1899)、岡十郎(萩市福井)たちが近代捕鯨会社を設立し、日本で最初に経営に成功します。
日露戦争の後、飛躍的にクジラの捕獲数を増やしたことは、2011年春(4月~6月)の企画展「萩・北浦のクジラ文化」でご紹介しました(乞うご参照、本ブログ)。
この引き札がもたらされた頃には、大阪方面へも販路を拡げていたことが想像されます。
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それにしてもこの引き札の絵は、誰が描いたのでしょうか。
暴れ疾走する馬に跨るエビス様は、鯛を小脇に抱え、足の指で手綱を掴み、釣竿でムチを入れています。
右下に落款が認められますが、不勉強でこの方面に疎く、よく分かりません。
どなたかご教示いただけませんでしょうか。
どうぞよろしくお願いいたします。         ・・・ つづく ・・・  (清水)
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by hagihaku | 2013-01-08 11:54 | くらしのやかたより
萩博物館「コマーシャル100年 in 萩」展で萩・再発見の4
1月7日、今日は菊ヶ浜に打ち寄せる波の音が聞こえません。
穏やかな月曜日です。

前回のブログで、定期船航路に面した地域の問屋引き札や柑橘類の問屋引き札をご紹介しました。
下は、その一枚です。
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兵庫港の蜜柑類問屋の引き札で、一見、海の中の築堤を、蒸気機関車が牽引した当時最先端の「汽車」が走る図です。
新橋-横浜間の鉄道開業時に、品川、大森辺りを走る「汽車」を描いた錦絵がありましたが、それと良く似た図柄になっています。
これがなかなかユニークで、良く見ると思わずニヤリとしてしまいます。
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築堤に見えたのは、橋げた状に立てられたソロバンで、その上にレールが敷かれています。
海は銭貨で、金庫が客車に見立てられています。
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連なる金庫列車を牽引する機関車は台秤、秤の台には金庫とストーブ?!(西洋風!)
運転士を務めるのは洋装のエビス・大黒さんで、ニコニコと算盤をはじき、鉛筆!で帳面をつけています。
そして、このめでたい金庫列車の行き着く駅名は、たくさん ???? 駅。
「たくさん」と右から読んで、下のアルファベットもどきを眺めていると ・・・ 読めました。
左から「もうかる」! 「たくさんもうかる」駅に到着する金庫列車です。
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水平線には、昇る旭日を背景に千石船や汽船の入り船が描かれています。
実にめでたいめでたい図柄となっています。
この問屋さんと取引すると、儲かること間違いなし!という、いかにも引き札らしい引き札です。

他の引き札もとてもユニークで、さまざまな発見があります。
城下町・萩の「煙突を見ない近代化」は脇に置いて、まずはお楽しみ下さい。

 ・・・ つづく ・・・  (清水)
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by hagihaku | 2013-01-07 09:30 | くらしのやかたより
コマーシャル100年 展で萩・再発見の3
1月4日、萩では雪が舞っています。
正月三が日間、寒さの中たくさんのご来館ありがとうございました。

コマーシャル100年展で萩・再発見のつづきです。
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明治10年代終わり頃から、大阪商船の汽船が定期的に萩浜崎港に寄港するようになったことは、以前ご紹介しました。
この汽船や他の回漕店の船によって、萩地域の産物が京阪神地域に送られ、逆に、京阪神地域に集まった産物や工業製品などが萩にもたらされました。
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展示中の浜崎町商家旧蔵の引き札には、定期航路に面した地域の問屋や商店のものが多く認められます。
これは、大阪商船定期航路の発着地である鳥取県境港の問屋の引き札です。
髪にリボンを結ぶ女性やインコが描かれています。
北国肥料とは、北海道産のニシン搾め滓でしょうか。
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上から、広島、玉島(現倉敷市)、丸亀、神戸と、瀬戸内海に面した寄港地の問屋引き札です。
海産物や素麺・蝋燭などを扱う問屋との関係がうかがえる資料です。
大漁のエビスさん、ニコニコ顔で帳面をつける大黒さん、盛装した貴人の乗る馬車、満載の千石船と汽船といった、引く札らしい図柄です。
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岡山、兵庫(神戸)、大阪の柑橘類を扱う問屋の引き札も認められます。
萩では、明治9年(1876)に全国に先駆けて夏みかんの経済栽培が始まりました。
明治20年(1897)頃より京阪神方面に出荷されるようになりますが、夏みかん3個から5個と米1升とが同じ値という高値で取引されることもありました。
この引き札がもたらされた明治時代の終わり頃には、萩の旧城下の空き地は、ほとんどが夏みかん畑として利用されていたといいます。
その生産額は、当時の萩町の年間予算の8倍にものぼりました。
萩の経済は夏みかんによって支えられ、「煙突を見ない」「煙を見ない」近代化が進められました。

 ・・・ つづく ・・・  (清水) 
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by hagihaku | 2013-01-04 12:42 | くらしのやかたより
お正月は萩博物館へどうぞ
明けましておめでとうございます。
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積雪の予報でしたが、穏やかな元旦を迎えました。
堀内本町の通りに面した萩博物館長屋門です。
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萩博物館は、毛利氏一門の大野毛利家の屋敷地に建設されました。
敷地は、大野毛利家同様に長屋門や土塀で画されています。
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長屋門をくぐると、かつての武家屋敷御殿を思わせる建物が見えてきます。
博物館に見えないかもしれませんが、萩博物館です。
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萩博物館は年中無休で開館しています。
本日、正月元旦も、9:00から来館者をお迎えしています。
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博物館を支えて下さっているNPO萩まちじゅう博物館のスタッフの皆さんです。
どうぞ本年もよろしくお願い致します。
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萩博物館では、現在、「コマーシャル100年 in 萩」展を開催しています。
城下町を起源とする「まち」の、「煙突を見ない!」近代化を再発見する展示です。
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京阪神地域との交易を示す明治期の「引き札」(広告チラシ)です。
問屋や商店、商品製造元が得意先に配ったものです。
めでたいもの、新しいもの、話題のものなどが、図柄として採り入れられています。
上の引き札は「七福神と貨幣」、この引き札は「中身が尽きない瓢(ひさご)から大杯に酒を注ぐエビスさまと、その酒をいただく亀」が描かれています。
亀の顔がほんのりと赤く描かれていて、思わず微笑してしまいます。
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京都市の魚問屋の引き札で、実にめでたい図柄です。
満面笑顔のエビス様、大黒様、めでたい鯛が大漁、背景に富士、鶴が舞い、亀が遊び、朝日を背に千石船の入船が描かれています。

今回展示の引き札は、市内浜崎の商家旧蔵の資料で、200数十点の中から22点を展示しています。
とても楽しい資料で、きっとご覧になられる方ごとに、何か発見があるはずです。

お正月は、是非、萩博物館へ。
お運びお待ちしております。     ・・・ つづく ・・・  (清水)
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by hagihaku | 2013-01-01 10:40 | くらしのやかたより