タイトルは『長州ファイブ物語―工業化に挑んだサムライたち―』というものです。 文久3年(1863)に伊藤博文・井上馨・遠藤謹助・山尾庸三・井上勝の5人がイギリスへ秘密裏に留学したことは、近年よく知られるようになりました。 これがいわゆる「長州ファイブ」なのですが、しかし、彼らはいったいなぜ、命の危険をもかえりみず密航という手段をとったのでしょうか。また彼らは帰国後、それぞれどのような道を歩み、どのような方面で活躍したのでしょうか。 本書ではそうした疑問にこたえるべく、彼らが「生きた器械」という表現を使用したことに注目し、「近代国家日本」あるいは「工業国家日本」の形成に彼らがいかに寄与したかについて接近を試みたものです。 おもな内容は以下の通りです。 【目次】 Ⅰ 「長州ファイブ」の誕生 Ⅱ 伊藤博文と工部省の創設 Ⅲ 井上馨と造幣寮の建設 Ⅳ 遠藤謹助と造幣技術の確立 Ⅴ 山尾庸三と工学教育 Ⅵ 井上勝と鉄道の創業 Ⅶ 「生きた器械」の意味 じつはこの本は、拙著『萩の近代化産業遺産』で「長州ファイブ」についてあまり書ききれなかったこともあって、その続編として書いたつもりであります。 ご一読のうえ、忌憚ないご意見、ご批判を頂戴できればと存じます。 よろしくお願い申し上げます。 井上勝の没後100年にあたる今年、井上勝没後100年記念事業実行委員会では、写真をふんだんに盛り込んだ『日本の鉄道の父 井上勝』というパンフを作成いたしました。 けっこうホネが折れましたが、手前味噌ながらこれは本当につくってよかったと思っています。 井上勝の意外な一面など、『長州ファイブ物語』で触れられなかったエピソードもふんだんに紹介しております。 【目次】 エッセー 日本の鉄道創業と井上勝 1 萩藩士井上家に誕生 2 イギリスへ密航留学 3 日本最初の鉄道開通 4 日本人技術者の養成と実践 5 鉄道界の長として活躍 6 ロンドンにて客死 7 手紙で偲ぶ井上勝の人柄 番外編 萩の鉄道小史 井上勝の相対的位置づけをご確認いただくうえでも、『長州ファイブ物語』とのご併読をおすすめいたします。 なお、お求めやお問い合わせは、萩博ミュージアムショップまでお願いします。 この展覧会では、残念ながら図録を作成することはかないませんでしたが、せめて展示の履歴をあとに残せるようにと、パンフレットをつくりました。 このパンフは、展覧会を御覧いただく方、つまり企画展示室にお入りいただく方すべてにお渡しすることになっています。 【目次】 エッセー 萩の「近代化産業遺産」を「世界遺産」へ 第1章 萩市の世界遺産候補 第2章 19世紀世界のなかの萩藩 第3章 大砲と関連産業の近代化 第4章 萩藩の科学 受付で必ず配布されますので、こちらもご高覧をいただければ幸いです。 以上、長々と宣伝をすみませんでした。 (道迫)
by hagihaku
| 2010-10-21 18:19
| 歴史資料調査室より
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