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クジラヒゲ絵馬とクジラ大和煮缶詰のひみつ
萩博物館企画展「萩・北浦のクジラ文化」展、展示のご紹介の続きです。
前回は、1899年、岡十郎が設立した近代捕鯨会社が、日本で最初に成功した近代捕鯨会社となり、やがて日本最大の捕鯨会社へと発展したことをご紹介しました。
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萩・北浦地域には、萩近代捕鯨草創期の資料が少なからず伝えられています。
その内の、クジラヒゲに捕鯨船を描いた絵馬と、クジラ大和煮缶詰とについてご紹介しましょう。
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クジラヒゲに描かれた捕鯨船(部分)です。
以前、本ブログでご紹介したことがある資料です。
煙を上げて航走する汽船の舳には、捕鯨砲が描かれています。
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同じく、展示しているクジラヒゲの絵馬です。
写真は、借用前に神社拝殿に掲げてあるところを撮影したものです。
奉納年や奉納の目的が不明でしたが、おおよその奉納時期は分かってきました。
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今回、展示の準備の中で、様々な新発見がありました。
煙突に描かれた印をご注目下さい。
先にご紹介した捕鯨船にも、同じ印が描かれています。
実は、絵馬に描かれているのは、近代捕鯨草創期の捕鯨船だったのです。
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長門市仙崎の肥料を扱っていた商家の、1910年頃の資料です。
肥料の鯨骨を送ったことを書きとめた罫紙に、一に三ツ星ならぬ、一に三つ鱗の社章が印刷されていました。
絵馬に描かれた捕鯨船は、長門捕鯨株式会社のそれだったのです。
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勇魚文庫所蔵のこの捕鯨船の写真は、捕鯨研究者の間で所属が不明とされていたものです。
今回これが、煙突の印から、長門捕鯨株式会社の第2神功丸であることが判明しました。
長門捕鯨株式会社は、1907年に仙崎に創設された近代捕鯨会社です。
1916年に岡十郎の起こした会社と合併ましたが、これまであまり資料が明らかにされていませんでした。
近代捕鯨草創期の日本遠洋漁業株式会社(後に東洋捕鯨株式会社)や長門捕鯨株式会社には、萩・北浦地域の多くの人たちが関わっていたことも、少しずつ見えてきました。

申し訳ありません。
長くなってしまいました。
「クジラヒゲ絵馬とクジラ大和煮缶詰のひみつ」は、後編へとつづく ・・・ (清水)
by hagihaku | 2011-06-01 09:24 | くらしのやかたより
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