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ムシの予知能力!?
萩もようやく梅の花が満開になり、春がやってきたように感じられます。
今年の冬は例年より寒い日が続き積雪量も多かったためでしょうか、カメムシをたくさん目撃したとか、カマキリが卵を産む位置の高さなどに関する話題が私の耳にも入ってきます。
たとえば・・・ 「カメムシが大量発生した年の冬は寒くなる。」とか、
「カマキリは積雪量が多い年には高い位置に卵を産む。」というものです。

結論からいうと、今ではどちらも科学的には誤りといわれています。

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秋にカメムシが多いか少ないかは、夏の気温に関係があり、冬の寒さには関係ないといわれています。
ただし、カメムシは秋の終わりごろ、越冬する場所を求めて飛びまわるので、寒いと快適な人家あたりまで飛来して人の目につくことが多くなり、このようにいわれてきたのかもしれません。
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カマキリが秋にその後にやってくる冬の積雪の高さを予知し、雪に埋もれない高さに卵を産みつけるという説は、過去にそのような研究論文が出され教科書やテレビなどでも紹介されたため、多くの人々が信じていました。
しかし、カマキリは実際には高い木に産卵することはめったになく、むしろススキなど低い草などに産卵することが多いのです。
そのため、ある学者が疑問を感じて調査したところ、上の説はやはり誤りだったことがわかり、2006年に日本昆虫学会で発表されました。

しかし、この説が誤りだったことがマスコミ等で取り上げられることがほとんどないため、いまだに多くの人がムシの予知能力を信じています。

でも案外、予知能力があるのは人間かも知れません。「ムシの知らせ」という言葉がありますから…(笑)。

(椋木)

by hagihaku | 2012-03-19 13:26 | いきもの研究室より
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