ふすまの中から幕末の彗星出現
幕末の彗星出現‼─世の中が乱れる「悪星」⁈

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 幕末期会津藩の女性を描いたNHK大河ドラマ「八重の桜」が放映中です。1月27日(日)に放映された「妖(よう)霊(れい)星(ぼし)」では、安政5年(1858)に出現した彗星が登場しました。実は、この彗星は「ドナチ彗星」といって、この年の8月下旬から肉眼で見えるようになり、11月はじめまで見えたといいます。
 萩博物館には、この彗星が描かれた古文書(こもんじょ)を所蔵しています。その古文書は萩市内にある旧家のふすまの下張りから出てきたもので、江戸に滞在している萩藩士三戸(みと)茂内(もない)が萩にいる父親の三戸善兵衛にあてた手紙です。手紙には日付はありませんが、安政5年(1858)の夏から秋にかけて出されたものと思われます。彗星の核の部分も、よく観察され描かれています。

 この手紙の彗星に関する部分を今の言葉にしてみました。

 先(せん)達(だ)ての萩藩公用の飛脚便によれば、徳川(とくがわ)斉(なり)昭(あき)(水戸藩)と井伊(いい)直(なお)弼(すけ)(彦根藩)との対立による政変が起こったということです。萩でもそのような世評があるでしょうか。そのために、「悪(あく)星(せい)」(彗星)が出現したのではないかといううわさです。
江戸でも、彗星は「宵(よい)」(夕方)・「明(あけ)」(明け方)ともに見えます。夕方は西北の空に見え、明け方は東北の空に見えます。とにかく図のように見えています。江戸でも色々と不吉なうわさが立っていますが、それも疑わしいことではありません。

 身体が次第にほてるように、彗星は長く明るくなっています。


 安政5年(1858)は、日本の幕末期の歴史が大きく動いた年です。この年4月23日、彦根藩主井伊直弼が大老(たいろう)に就任し、6月19日、日米修好通商条約が結ばれました。開国に反対していた水戸藩主徳川斉昭は、6月24日、予告なしに江戸城に登城して井伊直弼を責めました。
 井伊直弼は7月5日、徳川斉昭を謹慎処分にし、独裁政治をますます強めていきました。9月7日以降、直弼は開国に反対する尊王(そんのう)攘夷派(じょういは)の志士たちをつぎつぎに逮捕して投獄しました。吉田松陰も、12月5日に野山獄に投獄されました。松陰は翌年の安政6年(1859)に江戸へ送られ、処刑されます。
 当時、日本では、彗星を「妖(よう)星(せい)」または「妖霊星」とよび、何か悪いことが起こる不吉な星と信じられていました。三戸茂内も、彗星を「悪星」とよんでいます。手紙には、彗星を見た茂内の驚きと、世の中の動きに対する不安な気持ちが表れています。

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今年2013年も彗星の当たり年!─二つの彗星が登場

 その一つは、「パンスターズ彗星」です。3月下旬には夕方の西の空、4月初旬からは夕方の西の空と明け方の東の空に見えます。そして、次第に暗くなっていきます。
 もう一つは、「アイソン彗星」です。11月上旬から12月下旬にかけて、明け方の東の空で見えるそうです。

彗星が描かれた幕末の手紙を展示中‼

萩博物館の萩学コーナーで、6月23日(日)まで

パンスターズ彗星を見る会を行います☄

と き:4月5日(金)・4月12日(金)午後7時から
場 所:萩博物館天体観望室
参加料:無料
☄彗星が見えるのは、午後7時30分頃までですので、お早めにご来場ください。

                                                          (小惑星「NH」)
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by hagihaku | 2013-03-10 10:39 | 天体観測室より
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