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カブトガニを萩・長門近海で約30年ぶりに発見!萩博物館で飼育展示(2016.3.25~)
平成28年3月上旬、「生きている化石」と呼ばれるカブトガニが山口県長門市の野波瀬で採捕されました。
山口県の日本海側の萩市・長門市近海(いわゆる「北長門海岸」)では1984年に萩市の姥倉運河で採捕されて以来約30年ぶりの珍事となります。
このカブトガニを萩博物館で飼育展示することになりましたのでお知らせします。

■採捕から寄贈の経緯
【採捕地】 長門市三隅下野波瀬  
【採捕日】 平成28年3月7日(月) 
【採捕方法】 漁港沖の水深約22mのカレイ建網にかかる
【採捕者】 松本 剛 氏(山口県漁協野波瀬支店) 
【体のサイズ】 全長43cm、甲羅の幅23.7cm、体重1,26kg (オスの成体) 
【経緯】 山口県漁協野波瀬支店→萩水産事務所→山口県水産研究センター→萩博物館へ電話連絡。いったん水産研究センター職員が野波瀬漁港にて引き取り、センター内の飼育設備でストック → 約1週間後、萩博物館が引き取る。

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■カブトガニとは
兜のような甲羅をもつ節足動物で、カニのなかまのように見えますが実はクモ(蜘蛛)に近いのなかま。
約2~3億年前の古生代からほとんど姿を変えず生息しているため「生きている化石」として学術的に貴重な生物です。
干潟の泥のある海底にすみ、ゴカイなどを食べて生活しています。日本、中国、フィリピン、インドネシアに分布し、日本ではかつては各地にたくさん見られましたが、次第に生息環境が失われて減少し、絶滅の危機に瀕している種類として、環境省により「絶滅危惧I類」に指定されています。
現在の日本での生息地は瀬戸内海、九州北部の各地に点在する約10箇所のみとなりました。

■今回のカブトガニの重要性
山口県では瀬戸内海側では山口湾などの生息地が有名です。
しかし、日本海側での発見はたいへん珍しく、下関市の響灘沿岸(彦島・安岡・室津・特牛・島戸)で約5回ほど発見されているものの、萩市・長門市を含む北長門海岸に至っては下記2回にすぎません。

①1980年代頃:長門市近海 漁業者が採捕 (情報提供:山口県水産研究センター)
②1984年9月22日:萩市香川津(姥倉運河)漁業者が採捕 (旧萩市郷土博物館で飼育展示後、標本として保管)

山口県の日本海側の萩市・長門市には九州方面から対馬暖流が流れてきているため、九州北部の生息地(津屋崎、今津湾、伊万里湾、壱岐、平戸、西海)のいずれかから幼生が来遊し、偶発的に定着して成長した可能性があります。
近年、萩市三見飯井にカブトガニの甲羅が漂着していたという未確認情報もあるので、萩市三見~長門市三隅にかけてのどこかに今もカブトガニが細々と生息しているかもしれず、今後の情報収集や調査が期待されます。

■飼育展示について
萩博物館にて下記の場所・期間に飼育展示公開します。
展示場所:萩博物館エントランス(無料ゾーン)の小型水槽
展示期間:平成28年3月25日(金)~4月10日(日)
(※体調不良になった場合、早めに飼育展示を終了することがあります。)

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by hagihaku | 2016-03-25 15:09 | いきもの研究室より
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