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萩博物館に使われている「木」
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 萩博物館の建物は無垢(ホンモノ)の木材がふんだんに使われているのが特徴ですが、そのことがクローズアップされることはあまり、ありません。
 ここで少しご紹介します。
 
  
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・まず看板はかやの木です。
 針葉樹です。将棋盤とかでよくありますね。
 通常乾燥させて使いますが、普通、乾燥に10年かかるそうです。
 ちなみに実からとれる油はてんぷらにつかうと大変よいそうです。
 
 
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・横にわたす横架材は松、縦に立てるのは杉。
 使い方にセオリーがあります。
 松は、真っ直ぐなものは基本的には無く、時が経つにしたがい、ほぼ曲がります。
 それを読んで、生かすように横にわたして使うのがコツらしいです。
 杉は真っ直ぐなものが多く、縦に使います。
 (まっスグいのでスギというとか。)
 ただし、この博物館の構造はSRCなので、構造材ではありません。

 
 
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 ・割れない松は難しい。
 明かりの下の横に渡してある木を御覧ください。
 とてもよく割れてます。
 (この場合耐久性には関係ありません)
 松はほぼ割れます。
 これを防ぐためには、「割り物」にすれば割れにくくなるといいます。
 「割り物」とは一本の松を割って何本も柱をつくったりするが、そのような柱のことを割り物といいます。
 割り物であるということは、柱何本分の太さを持つ相当巨大な松でないとなりません。
 しかし、そのような巨大な松は国内ではあまりありません。
  
 
 
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・明倫の松。
 平成16年に台風で倒れた明倫小学校の松を
 市内の小池材木店さんがカット。
 ベンチにしました。
 幕末の明倫館も、萩の乱も、それ以降の小学校も全てを見てきた松の木です。
  
 
 
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・とっても特殊な床の仕上げ方です。
 たたみ風の意匠と聞いています。
 たしか、間伐材の(間引きの細い木)を利用したのかな。
 隙間があいてしまっているのは、木が乾燥し収縮したため。
 木は乾燥させることにより、安定し強度も増します。
 
 じゃ、あらかじめ乾燥させた材を敷き詰めれば、すきま空かないんじゃない?
 と普通思います。
 
 乾燥には何年もかかるので、何年も前に発注しないとできません。
 公共工事だとこの時点でアウトです。
 利益がでないもののために、何年も乾燥させるのは業者もできません。。
  
 そこを解決するため人工的に乾燥機にかけるということもします。
 よく、黒っぽくつやのない材木がありますが、人工乾燥材です。
 最近は綺麗にできる機械もあります。
 ただ、燃料を滅茶苦茶つかいます。
 
 
 
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・長屋門の外観です。
 
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 この枡の形状は、現在、作る木工所は殆ど無く困ったといいます。
 結局、市内、黒瀬木工所が作成されたそうです。
 
 このように萩博物館は木材を使いまくってます。
 とても苦労して作られました。
 また、すぐに黒くなったり、白蟻の害があったり、メンテナンスも大変です。 
 
 木材を使うことは「エコ」と考え、そのような生き方に憧れる方は多いですが、木材を扱うのは本当に大変です。
 
 この産業を維持するためには生産段階、流通から考えると、何年・何十年単位で管理をしないといけません。
 使い物になる木材が育つまでに20年~30年かかります。
 さらに50年モノの木材をうまく太らせないといけないともいいます。
 一生どころか何世代がかりの時間と計画と決断が必要です。
 外材との戦いもあります。
 強力な、サスティナブルなビジョンが求められています。
 

by hagihaku | 2018-02-15 10:03
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