菊ヶ浜の、海の底の「おたから」
今日は、みなさんにお見せしたいモノがあります。それは、萩市街の辺では多分、菊ヶ浜の海の底でしか見ることができません。9/2(土)、私は非番だったのでそれを求めて菊ヶ浜へ。その調査の様子を紹介しましょう。

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← この時期の菊ヶ浜のカラーはまだまだ夏そのもの。深緑の指月山の前に、白い砂とオーシャンブルーが鮮やかです。
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← 波うちぎわに接近。みなさんもこの時期に海に行ってみてください。
  夏休み中と違ってまわりに人がいないので、波はあなたのためだけに打ち寄せています。波との対面を独りじめ。
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← すばらしく透きとおった、波打ちぎわの水。
  ・・・思わず、手を差しのべて触れたくなります。
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← さて、水中メガネとシュノーケル、フィン(足ひれ)を装着し、海の表面を泳いで少し沖へ。
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↑ 海底を見おろすと、太陽の光の網がユラユラ。そこにウロウロしているのは「シロギス」という魚。萩では「きすご」と呼ばれ、天ぷら・フライに最適。長さ7cmぐらいのものから20cmぐらいのものまで、いくらでもいます。「萩ものがたり10巻: 萩沖の魚たち(春・夏編)」にも書いてあるように、菊ヶ浜は山口県でも有数のキス投げ釣りのポイントというのも納得。
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← 砂底をバタバタとはばたく「アカエイ」。これは幅15cmばかりの小物ですが、この日、幅60cmほどの大物にも遭遇。「アカエイ」は尾っぽのトゲに毒があるので、見かけても触らないでくださいね。

・・・ちなみに今日の目当ては、これらの魚ではありません。
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← 沖の防波堤の内側には、長さ8cmばかりの「マアジ」の群れ。数百匹の大群が流れていきます。
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← これは何? 長さ10~15cmほどのいきものがフワフワゆれています。
  ・・・萩では「みずいか」、食の世界では「イカの王様」と呼ばれる高級イカの「アオリイカ」です。頭のイイいきもので、私と一定の距離を保って警戒しています。
・・・と、あんまりいろんな生物がいるので、思わず本命を忘れて生物ウォッチングしてしまいました。ですが、これからが本番です。
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さあ、このあたりかな? 目測で水深3~4mぐらいのところの海の上。ここから、真下に向かって素潜りしてみます。
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← 海の中には、太陽の光のカーテンが涼しく差しこんでいます。
  その光に照らされながら海底へたどり着き、
  そこで辺りを見わたすと・・・
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← ・・・これです! これが今日、みなさんにお見せしたかったモノ。海底に広がる小さな草原。一辺の長さが3~7mほどの草原が、いくつも海底に横たわっているのです。

  ・・・まるで陸上のようで、海の中にいることを忘れてしまいますね。まさに、「海底草原」。

この「海底草原」の「草」の正体・・・それは、長さ2~3cmぐらいの葉っぱをもつ「ウミヒルモ」という海草。

b0076096_1157514.jpg「ウミヒルモ」はコンブやワカメなどの「海藻」と違い、私たちが陸上でよく見る「種子植物」。地球の長い歴史の中で、植物は海から陸に進出しましたが、なかには、再び海に戻って進化を続けたものもあります・・・そのひとつが、この「ウミヒルモ」。「種子植物」なので、なんと海の中で花を咲かせ、「種子」を作ります(一方、海藻は「胞子」をつくって繁殖します)。

b0076096_1201294.jpg中~南日本の各地に見られ、ものすごく珍しい植物というわけではありませんが、最近は沿岸の汚染や開発などによる環境変化で減ってきているとのこと。現在、絶滅のおそれのある野生生物をまとめた環境省のレッドデータブックで「準絶滅危惧種」に指定されています。場所によっては、さらに絶滅の危険が増しているとのことで「絶滅危惧種」に指定している県も。

そんな「ウミヒルモ」の草原が、萩の城下町のすぐ目先の海中にありました。この場所の環境がよいことを示している小さな「海底草原」。・・・これも、未来に引き継いでいきたい「萩のおたから」ですね。

「ウミヒルモ」は夏に花を咲かせるとのこと。ちょっともう時期が遅いかもしれませんが、もし花を見つけたら、撮影してまた紹介しましょう。
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by hagihaku | 2006-09-03 12:47 | いきもの研究室より
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