開催中の「君と竜宮城へ」展では、展示出口にアンケート用紙を設置し、来場されたみなさんからのご意見やご感想をおうかがいしています。
そのアンケートのなかに、お気に入りの展示物をたずねる項目があるのですが、開幕以来、人気第1位を誇っているのは「ダイオウイカ」!(やっぱり!?) そこで今日は「展示ができるまで」Part 4として、ダイオウイカの標本が完成する瞬間までをご紹介しましょう。 6/29、全国各地からさまざまな展示物がトラックで萩博物館に運ばれてきました。 ← 同時に、ダイオウイカを正式に標本にして展示するための専用展示ケースもやってきました。 長さ2m70cm、高さ60cm、奥行50cm。 厚さ1cm以上もある分厚いアクリル製! ← さて、一方で5/24から下処理用の棺桶にて1ヶ月もホルマリン漬けにしていたダイオウイカは・・・? 空調室前に安置された棺桶をのぞきこむ、椋木(昆虫担当)と山根専門員(天体担当)。 「ん~、よく漬かってる・・・かな?」 ← 棺桶の中に入っていたホルマリン液を排出し、ダイオウイカが入った棺桶ごとバックヤード作業場に移動。 棺桶の下に台車をかませて、大人数で慎重に移動します。 ← バックヤード作業場に到着。 棺桶の中でダイオウイカを水洗して、長机の上に「水揚げ」しました。 この日はYAB(山口朝日放送)のスタッフも、取材・撮影で現場入り。 ← 長机の上のダイオウイカは、透明の厚いアクリル板に置かれているのがわかりますね。 このアクリル板の上でダイオウイカの形を整え、胴体や足の「脇」にあたる部分の板に電動ドリルで穴を開けます。その穴にテグスを通してダイオウイカをくくりつけるのです。 ← そして、そのアクリル板とダイオウイカをセットで展示ケースに入れるのです。 6人が力を合わせてよっこらせ・・・と。 広い板ごと均一に持たないといけないので、・・・急遽、YABの記者さんにも手伝ってもらいました。 ← そうしていよいよ展示ケースにダイオウイカが入りました! 板ごと、斜めに立てかけるような感じで入ってます。 ふぅ~っ・・・と、ここで息をついたりモタモタしていてはいけませんっ!板にくくりつけているとはいえ、ダイオウイカが重みで少しずつ下にズレていきます。早く液体を入れて、浮力でズリ下がりを止めねばならんのです!! ← そこで、手際よく展示ケース内に水を充填!!・・・この水は、数日前に水道水を沸騰させて冷ましたもの。その後にホルマリンを濃度が10%ぐらいになるように入れます。 なぜ冷まし湯を使うのかというと、ホルマリンと混ぜたときに気泡が発生してケースの内面やイカにくっつくのを抑えるため。 ・・・んなことを言っているうちに、ホルマリンの刺激臭が目や鼻を襲ってくるので、すばやくフタをボルトで閉めます。といっても、そうは簡単にいきません。膨大な量の水の圧力で展示ケースのサイドが膨張してボルトが入りにくくなっています。そこで、男3人がケースを体ではさんで一時的に矯正し、その瞬間にボルトを締めるのです! こうして、ようやくダイオウイカのホルマリン液浸展示が完成! ← 今、「君と竜宮城へ」展の目玉展示物としてドッシリと君臨しています。 みなさまにお楽しみいただいているダイオウイカの標本、こうして2月の捕獲以来、半年もかけて修羅場を乗り越え、「みなさまのために」誕生したのです。 今、ダイオウイカの標本の前には長椅子を置いてあります。これは何のため!?・・・もちろん、あなたのため。寝転がってダイオウイカと背比べをしたり、ツーショット写真を撮ったり、あなた自身のアイデアでダイオウイカとのひとときを楽しんでいただくため! 「君と竜宮城へ」展の閉幕まであと2週間。心をこめてつくったダイオウイカの標本、じっくり何度でもお楽しみください! (堀)
by hagihaku
| 2007-08-21 19:12
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